黒鯛に関する様々な話題を紹介するコーナーです。
第1回 [黒鯛師探訪] ■ 横浜市 鈴木義人さん 第2回 [黒鯛師探訪] ■ 横須賀市 梅澤晋一郎さん 第3回 このごろ釣れない小網代湾? 第4回 [黒鯛師探訪] ■ 新潟市 美々さん 第5回 スイカ釣りの薦め 第6回 女性もOK!黒鯛釣り! 第7回 [黒鯛師探訪] ■ 東京都 石井正博さん 第8回 [エッセイ] ■ 東京都 トールさん 第9回 [エッセイ] ■ 東京都 竹内さん
黒鯛師探訪 ■横浜市 鈴木義人さん
第一回目の黒鯛師は、神奈川県横浜市在住の鈴木さん。
19年前、野島で落とし込みを始め、横須賀新堤防、久里浜をホームに現在、第一人者として活躍されています。
2001年大寒に近いある日、クロパラスタッフが鈴木さん宅を訪問、いろいろとお話を聞かせて頂きました。
- わざわざお時間を頂いて・・宜しくお願いします -
鈴木「どういたしまして・・お互い釣りの話は好きですから、ハハハ」
- 黒鯛の釣り方って色々あると思うんですけど、鈴木さんはどうして落とし込みを選んで始められたのですか? -
鈴木「そうだね・・まず身軽な事と、お金がかからない事かな?
それに自分の住んでる場所に近いし、餌の調達も自前で出来る。短竿のやり取りも堪えられない魅力があるし」
- 野島というと・・落とし込みでは発祥の地として有名ですよね -
鈴木「関東の伝統的短竿釣り(ヘチ釣り)では発祥の地かどうかは知らないけど、古い事は確かだね」
- 現在と昔の野島はどう違いますか? -
鈴木「昔、というか僕が始めた頃は結構釣れたね・・初めて乗った時もいきなり2枚釣れたし、
良い時はアベレージ7枚以上で、年間120〜130枚は釣ってたと思う。
その頃は釣り人もまだ少なかったし、魚も際に付いていたんで、
馬の背とかで胸位まで浸かりながら、その辺に落とせばポイポイ釣れた。
やっぱり、人が多いとどうしても魚は警戒して寄りが悪くなるよね」
- 1日でどのくらい釣れたんです? -
鈴木「20枚が最高かな? 3日で46枚ってのもあった。良い時代だったね」
- 誰でも釣れた ・・って訳ではないですよね? -
鈴木「上手い人・・というか、黒鯛は所詮中層魚なので例えばタナが6メートルだったとして、
底の方ばかり釣っているとあまり食わない。
何度も落とし込んで、常に餌を動かしてやってる人、こまめに歩いている人・・
状況の変化を感じる人が釣れるんだと思う。
技術というよりも・・そのあたりがコツなのかな?」
- 今釣るとしたら どうすれば釣果が上がるのでしょう? -
鈴木「やはり魚から見えないように一歩下がって釣ったり、音を立てないようにして気配を殺す事だね〜
結局堤防はコンクリートだから音も伝わりやすいし・・」
- 確かに黒鯛に限らず魚は人の気配に敏感ですよね -
鈴木「そう、思ったより賢いね。
昔、川崎の鶴見川に沢山鯉がいて、よく短竿で釣って遊んでいたんだ。
5時頃から会社の始る前と会社が終わってからと・・毎日のようにさ。
パンをちぎって川に投げると一斉に鯉が寄ってきて、パンをすぐ食べきってしまうんだけど、
その後に仕掛けを入れると3,4匹はすぐに釣れる。
ところが、その後はまったく針の付いた餌は食べなくなってしまって、
寄ってきた鯉は、針の近くからパンを吸い始め、しまいには吸い込んで針から外してしまう。
そしてなかなか吸い込めないパンが付いていると、どうすると思う?」
- え?どうするんですか? -
鈴木「それがね、尻尾で叩いて針から外すのよ」
- へぇー・・・驚きました -
鈴木「いつでも同じ結果だったね」
- そういえば、早朝活発だった餌取りがだんだん食わなくなってくる事って・・ありますね -
鈴木「学習する・・というよりもDNAと言う説もあるけど、釣られ易い個体から釣られてしまい、
釣られ難い個体が結局残る事になるから、警戒心というかスレてくるのかも知れないね」
- でも、鯉とか黒鯛とか・・人間の生息域に近い所に分布する魚は狡猾なのかも知れませんね -
鈴木「魚も命がかかっているし、人間が見えているだろうしね」
- ところで、最近は東京湾の黒鯛が大きくなってきたと言われていますが、どうでしょう?
鈴木「確かに10年位前は50オーバーなんてなかなか出なかったけれど、
去年は釣った黒鯛の半分近くが50オーバーだった。
確かに大きくなってるね、原因はよく解らない。
平成4年に久里浜のアシカ島で釣った黒鯛が当時のアシカの記録だったけど、
今では結構この位の魚が釣れるようになってきたね〜」
![]()
- 魚も多くなってきましたよね、釣れる釣れないは別として -
鈴木「人のいない場所には沢山いる。
T堤防のハナレなんて、一本のパイプに4,5枚の黒鯛が付いているし、
立ち入り禁止区域なんかにゃ、ウヨウヨいるって話だよ。
米軍基地の中とかね」
- 先日、テレビで見たのですが、ミドリイガイが層になって東京湾指標付近の海底に付いていると・・ -
鈴木「だから黒鯛は安全な所に沢山寄っているんじゃないかな?
中央防波堤なんかも魚は沢山いるし、実際釣れる」
- シーバスの連中がよくワームで黒鯛釣ってますよね? -
鈴木「そうだね・・結局、疑似餌で釣れるというのは目で追うからだし、
自分の知り合いでカラス貝の中にオモリを入れて、接着剤で付けて釣ってる奴もいる」
- 利口なようで・・やっぱり貪欲な魚なんでしょうね −
鈴木「そうだよ・・それほど難しくなんかない、
インベーダー(サバガニ)が大発生したりすると、狂ったように喰って来るしね。
そんな時は、何のカニでもパカパカ釣れるよ・・・
だいたい僕は、久里浜なんかに行くと、朝2,3回仕掛けを入れて当たりがないと飽きちゃう、
というか、釣れないと飽きちゃう。
そんな日は昼寝だね」
沢山の魚拓と鈴木さん
- 黒鯛を釣るために重要な事、プライオリティは? −
鈴木「魚のいる所で釣る・・これが一番。
従って、情報収集である程度決まっちゃう・・・・
釣る人ってのは釣れない時に無理して釣りに行かないから釣れる。
そう言う事」
- タックルとかのこだわりは? −
鈴木「僕は道具はなんでもいいし、お金も無駄に使わない。
釣具屋にもめったに行かないから・・・」
- まだまだ聞きたいことはたくさんあるんですけど、
鈴木さんにとって、黒鯛釣りってひとことで言うとなんですか? −
鈴木「ハハハハ・・生活の糧です、夕食のおかず!」
- 釣り場での食事は? -
鈴木「おかーちゃんの手作り弁当」
- ご馳走様です・・今日はありがとうございました -
後記
さすがというか、気負いの無い自然体の鈴木さんでした。
普段は明るくおしゃべり好き・・・
しかし集中力と腕は実績が物語っています。
取材 2001 1月 ーくらげ仙人ー