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黒鯛師探訪 ■横須賀市 梅澤晋一郎さん
今回の黒鯛師は若干23歳。
小学生の頃から黒鯛釣りに並々ならぬ頭角を現していたという、
横須賀市野比にお住まいの浮きフカセ釣り師、梅澤さんです。
- 今日はいろいろとお話を聞かせて頂きます -
梅澤「はい、宜しく・・少し恥ずかしいですけど・・・」
- 早速ですが、野比で生まれてずっと今まで? -
梅澤「ええ、ずっとここです」
- 野比というと目の前が黒鯛釣り場のような所ですよね?何歳位から黒鯛を釣り始めたのですか? -
梅澤「そうですね、始めたのは小学校5年生の時ですかね・・
最初に買った竿がシマノの”ハイパーフォース磯”という竿でした」
- なんと、随分立派な道具を持っていたんですね、私なんかグラスロッドでしたよ・・・-
梅澤「まぁ・・道具はその後も色々買っちゃいました・・・
リールはBBXスペシャルのレバーだとか。
ウキはカン付き浮きとか遠矢ウキとか・・すでにありましたから使っていましたね」
- 野比というと三浦海岸の北東の端で、有名な所では「長沢テトラ」とか「久里浜東電排水口」などがありますよね?-
梅澤「ええ・・長沢のテトラは当時結構ドン深で、砂浜からウキをテトラの際に投げて釣っていました。
それほど先端に投げなくても釣れましたね、波打ち際で・・・2回に1回位の割合かな?
冬場、というか寒い時にオキアミで釣れました。12月に4枚とか・・・」
- 今はどうなんですか?-
梅澤「一時、砂が掘れてしまい浅くなって釣れなくなりました。
でも、最近また岩肌が見えるほど砂が流れたのでもしかしたら釣れるかも知れませんね」
- 東電の排水口は一時、随分釣れたと聞いた事がありますが? -
梅澤「そうですね、その頃は温排水が出ていて冬でも水が温かかったですからね・・・
ただ、流れが速かったので30号位の錘で置き竿にしてましたけど。
餌は近くでイワイソメが採れたので、それを使っていました。
今はもう排水が出てないみたいなんで・・・それと共に黒鯛も釣れなくなりました」
- 「話が前後してしまいますが、初めて釣った黒鯛は? -
梅澤「久里浜の平作川河口堤防で、乗っ込みの時だったと思います。
オキアミ餌で、川の方じゃなくて砂浜寄りで釣りました。48cmで2・5キロありましたね・・
- よくあんな所で釣りましたね・・今じゃせいぜいスズキ位しか釣れないと思っていました -
梅澤「そうですね・・あまり釣れません。
でも今でも一人だけは釣っているみたいですよ・・たしか高校生だったと思いますが、
彼だけは今でも黒鯛を上げています。近所では有名です」
− へぇ〜 ・・ その子も将来は梅澤さんのようになるんでしょうね。
で、話は戻りますが、中学時代は?
梅澤「その頃から本格化しまして(笑)・・いつも3人位のグループで釣り歩いていました。
諸磯とか城ヶ島とか・・・
それと・・たまたま学校の先生が釣りが好きで、
道志川とか・・いろんなところに連れて行ってもらいました。
ルアー、フライもやりました・・」
- それで現在の釣りの奥行きが出たんですね・・万能ですもんね。
そして某大手釣具店に入社した訳ですね? -
梅澤「はい。色々な経験をさせて貰いました・・・」
- それで現在は退社してしまった・・ということですが、それはまたどうして? -
梅澤「結局・・釣具店に対して自分の理想?というか、コンセプトが違った・・ということでしょうか?
釣具店にいると、お客さんからのクレームとかが多いんですよ・・
釣れないと『どうしてだ??』とか文句言われたり、道具のクレームとか・・
釣りに対してあまりいい印象を持てなくなる。
- それで結局自分で始めようと? -
梅澤「そうですね〜・・それしかないかな?・・と」
- いろいろ経験した事が約立つでしょうね。
ところで、黒鯛釣りで技術的な事・・お聞きしていいですか?-
梅澤「はい」

- いつも心がけている事、または、こうしたら釣れた・・的な話なんですが・・・ -
梅澤「僕は常に黒鯛がそこに居る・・という風に考えて釣る事にしています。
従って釣れない時は”何故”釣れないのか?・・と、こうなりますね。
それがもし、技術でカバーできればベストだと。
黒鯛は落ちてくる・・もしくは落ちて来た餌にしか興味を持たないと考えているので、
餌の沈降速度、コマセとの同調をいつも心がけるようにしています。
黒鯛が口を使うように演出したいと・・・・・
ですから針の重さ、大きさにはかなり気を使っていますね」
- 普段どんな針を使っているのですか? -
梅澤「オーナーの”速攻グレ”もしくは”速攻グレX”です。以前はヴィトムとかも良く使いました」
- なるほど・・あくまでも「自然に落とす」という事ですね -
梅澤「そうですね・・理想的には。
但し餌取りとかの状況によってはかなり仕掛けは変えます。
一日で何度も変えますね・・ウキも2段ウキ仕掛けから00まで・・アシカなんかだと1号とか」
- コマセの配合は? -
梅澤「比較的軽いグレ系の餌をオキアミ主体に作っています。
今はちょっと・・それにこだわっているので・・・」
- ところが、時に重いコマセで大きな練り餌を付けて、ずっと底で待ってる・・という風な釣りで釣果が出ますよね?
梅澤「そうなんですよ・・僕なんか仕掛けの振り込む回数がめちゃ多くなるんですが、
その・・待ち釣り気味の人が釣れると、どうしても考え込んでしまう・・・・
何故、釣れたのか?ということですよね。
それが解らなかったりします。
今のスランプの原因かな??」
- 関東の各釣り場はいつも混んでいるし、自分のコマセだけで自分の釣りって
ほぼ、無理ですよね・・状況的に。
梅澤「そうでしょうね・・結局誰のコマセで釣れたのか疑問になっちゃうし、
偶然の要素も多いですからね」

- なるほど・・梅澤さんにとって黒鯛釣りってひとことで言うと? -
梅澤「生活の一部というか、ライフスタイルっていうのかな?
自然な感じで溶け込んでる・・といったところです。
ただ、4年程前までは漠然と黒鯛を釣っていたんですよ・・
友達に釣れたぞ〜とか自慢しあったり、仲間内で楽しむのが好きで。
だから・・それほど興味が沸いてこなくなって、一度はやめようかと・・・・・・」
- それで現在の心境になったのは? -
梅澤「同じ釣具店の人で”O"さんと言う方とお会いしてから、大きく変わりました。
その人はなんていうか・・本当に釣りを楽しんでいるのです・・純粋にね。
釣りに集中する姿勢に影響を受けました。
こんな風に釣りをするんだなぁ・・って。
別にトーナメントに出たりする訳でもなく、しっかり自分の中で釣りが出来る人なんです。
もうかなり年配の人なんですが、僕の師匠的存在ですね」
- 解ります・・今はなにやらメジャー志向名人だったり、冠付き名人の時代ですからね
別にそれがどうだという訳ではありませんが・・
梅澤「そうですね、でもその出会いがあったから続ける事ができました」
- なるほど・・人との出会いは素晴らしい事です。
私も茅ヶ崎で釣りを覚えた時、教えてくれた人は今でも良く覚えていますし、
感謝もしていますが・・よくもまぁ釣りにハマれせてくれたもんだと・・(笑)
それでは最後になりますが、釣りに行く時の昼食は? -
梅澤「ハハハ・・ウィダーインゼリーとカロリーメイトです」
- 今日は長い間ありがとうございました -
後記
しっかりとした考えを持った、礼儀正しい青年・・・といった印象でした。
並外れた運動神経を持ち、釣り場では率先して道具の手渡しをする釣り師です。
取材 2001 1月 ーくらげ仙人ー