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■この頃釣れない小網代湾
最近、神奈川県では真鯛釣りを楽しむために、一人当たり1回200円を徴収している。
これは城ヶ島にある「財団法人神奈川県栽培漁業協会」が行っているのだが、資源の雑持・増大を図るためである。
確かに真鯛の場合、漁獲量(釣りを含む)の半数位が放流魚というから驚きだ。
なお、釣りによって捕獲される漁獲量が、近年は漁業を上回っていると聞いている。
クロダイについては神奈川県栽培漁業協会に問い合わせてみたところ、
真鯛のようにデータは取っていないとのこと。これは残念だが推測するしかない。
クロダイは市場価値として当然、真鯛ほどではないのだが、釣り魚での価値は甲乙付け難い・・・
このサイトをご覧になって下さる皆さんは当然クロダイの価値の高さをご存知である。
今まで神奈川県栽培漁業協会が行ってきたクロダイの稚魚放流が現在は行われていない。
現在は真鯛の種苗生産(その他カレイ等)が主に行われている。
種苗生産用水槽(20以上)のうち数箇所の水槽を使って育てられてきたクロダイは、
過去、小網代湾を中心に10万匹以上の単位で毎年行われてきた。
この放流がもたらしてくれた恩恵は皆さん良くご存知の事と思うが、
もし真鯛の漁獲割合と同じように釣った黒鯛の半分が放流物であるなら、
今後クロダイの個体数は、三浦に限っては減り続けて行くのだろうか??
結局、神奈川県ではクロダイの水槽は真鯛に取って代わってしまったということ。
しかも現在では再開の見通しは立っていない。
稚魚を他から買うには(例えば広島県栽培漁業センターから購入)90円/匹になるそうだ。
飼料を与えられて育った放流魚は、研究によると警戒心が薄く、釣られやすい個体と言われている。
それ故、前述の真鯛の漁獲データでも”半数位が放流魚”と言う結果は推測できる。
釣られやすい個体はある一定の時期を過ごすと再度、再々度と釣れてくるケースが多く見られるが、
その事は学習機能が一定の期間を過ぎると忘却するという実験データを裏付けしている。
皆さんも釣り針の付いたクロダイを一度や2度は釣った事があるかと思う。
過去ティラピアの一種では、実験により個体差(釣られ易さ)が見られたそうだ。
これは全て自然界から捕獲した個体であった。
要するに野生のものでも釣られやすい魚と、釣られ難い魚とがいて、
放流魚は更に警戒心が薄く、非常に釣られやすいのだ。
個体差(DNA?)が遺伝するならこの傾向は今後ますます顕著になって、
警戒心の強いクロダイだけが残り、しまいには幻の魚となってしまうだろう。
なんとか神奈川県での種苗生産復活を切に願いたい。
それには我々釣り人の協力が更に必要だろう。
全国的に見れば積極的にクロダイの栽培漁業を行っている所もあるので
誤解の無いように。
クロパラ編集部