2005年12月から本格的に活動再開なさって、
初めてのホールコンサートということで、この
タイトルをつけられたのだろう。500人ほど入る
ホールなので、所属事務所の皆さんも大変熱心に、
早くからチケットを発売なさっていた。我が家でも
パートナーが早い段階で申し込みをしていた。

入り口で、アーティストや関係者の
皆さんからの、お花の
豪華さに息を呑む。
伊勢正三さん、イルカさん、山田パンダさん、
小田和正さん、財津和夫さん、山下達郎さん、
フォーライフの後藤社長、そして、旅のつづき…でお世話に
なっている、Sさん。

皆さん、30年前に
同じ番組に
出られていたり、その当時から
親交のある方々ばかり。
(これが、コウタローさんと、ほぼウィークエンドの
皆さんのお人柄と、キャリアなんだろう)
感銘を受けつつ、客席に座る。その客席は、
ほぼ満員の素晴らしい状況だった。多くの
アーティストの皆さんも見にいらしていたようだった。
私は猫の石山恵三さんとお会いした。
この日はスクリーンで、まず、三浦海岸の映像が流される。
今の皆さんのお姿に交じり、懐かしいフェスティバルでの
モノクロ写真も挟まれる。
映像に重なる形、Overture(序曲)の「岬めぐり」。
ちゃりさんという女の方の声だった。
その声に重なる形で、皆さんがご登場、それぞれの
持ち場に立たれ、「岬めぐり」でライブが始まる。
早速コウタローさんがごあいさつ。
「今日はようこそおいで下さいました…今日は
休憩を入れるか入れないかでもめましたが、
自分たちの世代には休憩がある方がよかろう、と
休憩を入れることにしました。念のために、
中学時代の同級生で医師の○○さん、歯痛や
歯槽膿漏に備え、歯科医の□□さんに客席に
来てもらっています」
早速笑う客席。小さいライブハウスなどでは、
コウタローさんの芸能界でないご友人は、
雰囲気ですぐわかる。皆さんその道で立派に
ご活躍なさっている方が多く、重みある、
素敵な紳士の雰囲気を持っていらっしゃる。
この日は多くのサポートミュージシャンが
いらしていた。まず、おなじみの加戸孝寛さん(g)。
加戸さんは、マンドリンも操られ、最初から
サポートなさる。
そして、かしぶち哲郎さん(per)のご登場。
ムーンライダーズで今もご活躍中。
「はぐれ雲」、「あの日の僕でなく」、「めぐる
季節に」と、懐かしい曲を歌っていかれる。
「あの日の…」は南こうせつさん作曲。
「めぐる…」、ワルツのリズムが美しい。これは
森さん作曲。
「あと何年声が出るかと思って始めました…」
そう言われるコウタローさん。
「昔よりテンポは遅いですが、今の自分たちには
これくらいでちょうど良いと思います」
とのMCに続いて、「走れコウタロー」。客席、
大盛り上がりの後は、「かげふみ」。「かげふみ」は、
昔の曲で「唯一のフォーク調です」とのこと。
「昔は音楽とケンカしながらやってましたが…
今はそうではなくなりました」
さまざまな人生経験を経て、音楽への思いも、
若い頃とは良い意味で変化しているのだろう。
「東京、そして、東京」(見崎さん)のあとは、
コウタローさんと森さんだけが残られ、懐かしい
「東京の詩(うた)」で前半終了。
15分ほどの休憩を経て、衣装替えをなさった方も
多い中、「落葉の舗道」、「空」で後半スタート。
後半は、島村英二さん(dr)、林政宏さん(key)も
サポートに加わられる。島村さんのドラムは力強く、
カッコイイ!
「ギターが泣いている」、オランさんの骨太の歌声と
華麗なベースに、思わず手拍子、客席は大いに
盛り上がる。
「森林浴のイメージで聞いて下さい」
とのコウタローさんのMCに続き、「心のままに」。
爽やかなすがすがしい光景が目の前に広がる。
「心の…」から、初お披露目の曲が並ぶ。今、
皆さんは、来年3月発売予定のアルバムに向け、
レコーディングにいそしんでいらっしゃる。
「On and On」、「Goodbye純情」。「Goodbye…」は
オランさんの骨太ボーカルに、ほろ苦い歌詞が
マッチしている。
ここから中澤まどかさん(sax)のサポートもある。
「海が見たい」、スクリーンに美しい海の映像。
森さんの優しい、甘い声が光る曲。
コウタローさんの今日のキメのMCは、こういうお話だった。
「若い頃、夢を見ていたのは、和みの社会でした。
今、自分が実際に若い学生たちに話をする立場に
なって、今も昔も変わらない、自分の心の熱さを
伝えられるか、と思いつつ教壇に立っています」
コウタローさんのお話は、時に面白く笑わせつつ、
必ず、ポイントを押さえていらっしゃる。そういう
話術は見習わなくては、と、毎回思う。
新曲の「虹の風船」、そして、早くも評判の高い
「Musician」でライブ本編が終わる。
アンコールではサポートの皆さんも演奏に加わり、
「岬めぐり」、「青春の河」を歌って下さった。

この日の
ライブには、
皆さんからの
お土産があった。
ライブは、皆さんからの「ハートの
こもった贈りもの」ということなのだろう。
猫、TULIP、そしてウィークエンド。
パートナーが昔憧れていた3大バンドは、
皆、フォークという枠にとどまらない、
ポップなサウンドを持っているし、ニュー
ミュージックの匂いがする。ライブに行き、
現在、また、元のメンバーとお話をすることが、
彼には何よりの楽しみとなっている。
そして、今は「その曲を演奏する」楽しみも
加わっている。彼は「今の気分」の曲や、
「今覚えたい曲」を車で聞いている。この頃の
気分は、懐かしい「ウィークエンド」のアルバムらしい。
車で、隣のパートナーに聞いてみる。
「コウタローさんって…昔もお話は面白かったの
でしょうけれど、きっと大学の先生をなさって、
磨きがかかったんじゃない?」
うなずく彼。
(音楽はもちろんだけれど、こういう変化を
楽しむのも、昔好きだったアーティストの
皆さんのライブに行く楽しみなんだろうなぁ)
音楽の素晴らしさはもちろん、大人の優しさ、
人生のほろ苦さ、楽しさ、そして、強く生きる勇気。
そういう思いを感じたい方は、ぜひとも、
「山本コウタローとほぼウィークエンド」の
サウンドに触れていただきたい。